4)生死の境をさまよった妊娠・出産

食べ物のありがたみ、パワーを身をもって実感

 

 

議員秘書にやりがいを感じていたので、結婚してもずっと仕事を続けるつもりでした。でも子供を授かり、妊娠中毒症が進んでしまったため、泣く泣く退職。ついに妊娠○週で緊急入院を余儀なくされました。腎不全になり命も危なかった。幸い娘も無事に生まれ、私も命は取り留めましたが、出産後はしばらく入院生活。ずっと点滴だったので、ようやくおかゆが食べられることになった瞬間のあの嬉しさは忘れられません! ドロドロのおかゆなのに「食べたい!」って体のそこから気力が湧いてくる。起き上がるのもつらいのに、ありったけの力をふりしぼって手を動かしていました。自分の口で食事ができるってなんて幸せなんだろうって心の底から思いました。

 

寝たきりから復活したのは料理がきっかけ

食べること、作ることが生きる力になる

 

1ヶ月半の入院を経て退院。実家ではほぼ寝たきり生活でした。起き上がる気力もなかったのが、ようやく動けるようになって一枚のお皿を洗うことができた。そして味噌汁かスープを何か一品作ったんです。まだキッチンに立てなくて椅子に座ったままだったけど、その姿を見て母がすごく喜んでくれて。喜ぶ母を見た私も嬉しくなって。死の淵をさまよいもうダメかもしれないと思った私が、キッチンに立つことで「私、これで生きていける!」って思えたんです。

 

あったかいスープでからだがほわっと温まっていく感覚。野菜が食べられるようになったときの喜び。お肉を食べられるようになって、みるみる力が湧いてくるあの感じ。食事でからだに活力、気力が溜まっていって、どんどん元気になっていく。その体験は一生忘れられません。

 

自分で食べられること、自分で料理が作れたこと、家族や誰かの役に立てたこと。「作ってくれてありがとう」の感謝の言葉と気持ちが自分を元気にしてくれる。料理が命をつないでくれた。この体験は一生忘れられません。食べ物、料理の力を伝えていきたい、いまの私の活動の原点になっています。